株式会社北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝俊氏の2冊目の著書『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』が高く評価されています。
アマゾンなどでベストセラーを続け、ダントツでランキング1位を獲得中です。
引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000051691.html
この本では、資本金1万円で、一人で立ち上げた会社を東証プライム上場の優良企業に成長させた、Webマーケティングの極意が惜しみなく公開されています。
Webマーケティングに関わる全ての人におすすめの本と言えるでしょう。
著書の中で注目したいのは、マイクロコピーが「ダイナミックな事業戦略」として記述されていることです。
木下社長自身のマイクロコピー体験から生まれた戦略ですが、どのように活用されたかを紹介したいと思います。
売上を1.5倍にする8文字
創業当時、木下社長は北海道特産品のeコマースを主な事業としており、毛ガニ、ホタテ、甘エビのセットを送料込み3,980円で販売していました。
個数を選ぶプルダウンメニューに「お1人様2個まで」の8文字を入れたところ、購入者の約半数が2個買いするようになったといいます。
「2個までしか買えない」と言われると、「2個買った方がお得かもしれない」と思う人が多かったのでしょう。
マイクロコピーは、ユーザーが少し迷ってしまうような場所に適切な文章を配置することで、ユーザーの行動を後押しします。
その結果、「お1人様2個まで」という8文字だけで、売上が1.5倍になりました。
このマイクロコピーのインパクトについて次のように説明しています。
当時は会社の規模が小さかったので売上インパクトは月間で数十万円だったが、もし月商1000万円の商品ならこの8文字で月1500万円になる。 月にすれば500万円、年にすれば6000万円の売上増になっただろう。
引用:『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』(木下勝寿・著)実業之日本社
「お1人様2個まで」の事例を説明すると当たり前のように聞こえますが、意外にこういった工夫ができていないサイトは多いのです。
木下社長は、CVR(購入率)を手っ取り早く上げたいと考えるならば、まず「カゴ周り」の改善をおすすめしています。
購入率を上げるための工夫
申し込みボタンの文言を「注文する」から「試してみる」に変更しただけで、購入率が1.2倍になった事例もあります。
さらに、「試してみる」に矢印をつけて「試してみる→」としたところ、再び購入率が1.2倍に向上しました。
最初の「注文する」と比べると、購入率は1.2×1.2=1.44倍にアップしたのです。
大きな修正を加えずとも、マイクロコピーの小さな改善を積み重ねることで、購入率が劇的に向上した好例と言えます。
ただし、木下社長はマイクロコピーを思いつきで作っているのではありません。
ボタンの文言1つとっても一文一文を「本当にこれが最適か?」「もっと心を動かす表現はできないか?」と疑ってかかる。そして全身全霊で工夫をする。
「コスト」を使うのではなく「知恵」を使うのが本物のマーケティングスキルだ。
引用:『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』(木下勝寿・著)実業之日本社
マイクロコピーが熟慮の産物であることは間違いありません。
また、マイクロコピーに限ったことではありませんが、「お客様の価値観を理解するため人に聞いていくことが大事」とマーケティングのインタビューで語っていたことも付け加えておきます*1。
お客さまの価値観を理解できるまで何度も質問を何度も繰り返すうちに、抽象的思考力が養われ、「こういう商品は買ってくれるだろう」「こういう商品は買ってもらえない」といった仮説を立てる力が身に付いてくるといいます。
マイクロコピーは「ダイナミックな事業戦略である」
木下社長は、「ダイナミックな事業計画の結果、ここ(マイクロコピー)にたどり着いた」と述べています。
広告宣伝費を投入して売上を2倍、3倍にするよりも、たった一言のマイクロコピーで1.2倍の改善を4回繰り返せば、コストをかけずに売上を2倍にできることは、先の事例から明らかです。
さらに重要なことは、目立つキャッチコピーは模倣されがちですが、「マイクロコピーに関心を持つ人は少ない」ということです。
仮にマイクロコピーの力で売上が2倍、3倍になったとしても、競合他社にはその理由が分かりません。
「だからこそ独占を守れる」のです。
木下社長がマイクロコピーにこだわるのは、木下社長のビジネスを2倍、3倍に成長させるダイナミックな戦略の重要な施策の1つだからです。
木下社長からのメッセージ
マイクロコピーの普及に努め、当サイト(http://microcopy.org/)を運営している私たちにとって、木下社長が著著の中でマイクロコピーについてページを割いてくださったことはシンプルにうれしく、感謝の気持ちを伝えたところ、ご本人から直接メッセージが届きました。
このメッセージを含めて、木下社長の著著を当サイトで紹介したいと返信したところ、再びメッセージをいただきました。
これまでのWEBマーケティングのノウハウをラジオ局にインストールし、ビジネスを効率化していくということでしょうか。
デジタル×ラジオ局の新しいカタチ、そこからどのようなマイクロコピーが生まれるのか、非常に楽しみです。
今後も木下社長の動向に注目しましょう。