最近、ますます多くの企業が優れたマイクロコピー(購入ボタンや入力フォーム周りの小さなコピー)に価値を見出し始めています。
ECサイト、アプリ、商品LPなどで使用するマイクロコピーは、ユーザーに劇的な影響を与え、たった数文字の違いが何倍もの利益を生み出すことも珍しくありません。
例えば、ある住宅情報サイトでは、ボタンのマイクロコピーを「メールお問い合わせ」から「空室状況を問合せ」に変更した結果・・・
「空室状況を問合せ」の方が、問い合わせ率(CVR)が127%も改善されたそうです。
このように、正しいマイクロコピーはビジネスにおいて強力な武器になります。
しかし、裏を返せば、間違ったマイクロコピーを使い続けることは、機会損失と不利益を生み出すということ。
今回は、気づかず使ってしまいがちな「やってはいけない」マイクロコピー3つのパターンを解説します。
目次
ロボットのような言葉を使わない
あなたの提供するサイトやサービスに、まるでロボットのようなマイクロコピーはありませんか?
「このユーザー名はすでに使われています」
「正しい遷移ではありません」
「パスワードが無効です」
など…このような無機質なコピーは、ユーザーとの間に大きな断絶を生み出します。
代わりに、温かな個性のあるマイクロコピーを使ってみてください。
スタンフォード大学教授クリフォード・ナスの研究によれば、メッセージの中にユーモアがあると、人々は自己肯定感を高め、相手からの提案を受け入れて協力的に動こうとすることが分かっています。
人間らしいマイクロコピーとは?
例えば、アメリカのYahoo!では、生年月日を入力ミスしたときにこんなメッセージが出てきます。
「本当に未来からきたんですか?」
このように、イライラされがちなエラーメッセージも、適度なジョークを織り交ぜることで、ピリッとした空気をやわらげてくれます。
もう一つ例を挙げると、例えば、SNSなどで「アカウントが凍結された」とき。
ユーザーとしては、不安や焦りを感じる場面ですよね…。
一般的なメッセージはこのようなものでしょうか。
ごく事務的に、やるべきことを示すものがほとんどです。
しかし、この文章からは冷たく、見捨てられそうな印象を受ける人もいるでしょう。
そこで、ゲーマー向けコミュニケーションツールDiscordでは、人間らしいちょっとしたユーモアで不安を軽減させてくれます。
「ここで何か起こっているようだ」
「凍結時に電話番号を認証する」という同じシチュエーションのはずですが、受ける印象はかなり異なりますね。
トラブルやエラーメッセージに人間らしさを加えることは、ユーザーを協力的にさせ、親密な関係を築くことに役立ちます。
人間らしいマイクロコピーを作る方法
マイクロコピーに人間らしさを出すには、まず、サイトの「ボイスアンドトーン」を設定する必要があります。
ボイスアンドトーンとは、企業、ブランドの個性を表現し、場面や相手に応じて情緒的なニュアンスを持たせるものです。
例えば、先ほど例を挙げたDiscordのボイスアンドトーンからは、「遊び心のある」「協力的な」「人懐こい」キャラクターを感じると思います。
マイクロコピーに一貫性を持たせるためにも、ボイスアンドトーンはできるだけ早い段階で設定しておきましょう。
ボイスアンドトーンは、4つのステップで簡単に作ることができます。
詳しくは、こちらの「ボイスアンドトーンの作り方」をぜひご覧ください↓
『顧客視点での言葉』を考える
自分では当たり前だと思っている言葉が、その分野の初心者にとっては意味不明である…ということは珍しくありません。
アメリカの伝説的コピーライター、ロバート・コリアーはこう言っています。
「我々は『顧客視点で考えろ』と普段から言っているくせに、いかに『顧客視点での言葉』を使っていないかがよくわかる。」
自分の顧客はどのレベルなのか?
あなたがその分野、業界について詳しく知っているほど陥りやすい罠が、専門用語の多用です。
大前提として、お客様の知識レベルに合わせた言葉を使いましょう。
例えば、AmazonのWebサービスAWSのマイクロコピーは、ターゲットである開発者・ITチームの目には、スマートに映るでしょう。
しかし、一方で、ターゲットではない初心者やシニア層にとってはこれらの専門用語が障害になるかもしれません。
会議室で生まれた造語を使わない
とある通販サイトでは、欲しい商品の値引きをTwitterでリクエストするサービスを展開しています。
しかしこの「ナビバリューリクエスト」という言葉。説明がなければ意味がわかりませんよね。
そこで、これとは別のコピーが書かれたボタンを用意し、A/Bテストを実施しました。
その結果・・・
「値引きリクエスト」と書かれたボタンが、クリック率が93.9%アップしました。
分かりにくい造語は、本来のサービスの良さを伝えられません。
自分たちで作った言葉ではなく、「お客様の言葉」を使うことを意識しましょう。
誤字脱字・文法ミスは信用を失う
大前提ですが、誤字脱字、文法ミスは避けましょう。信用を失ったり、あるいは詐欺サイトを疑われるかもしれません。
しかし、誰しもがミスをする可能性を持っています。
事実、大手銀行すらこのような子供レベルの文法ミスをする場合があるのです。
誤字脱字・文法ミスを防ぐ方法
誤字脱字・文法ミスがあまりに多いと、信用を失う可能性があります。
このようなミスを防ぐには、いくつかの方法があります。
①ワードなどの校正機能を使う
Microsoft Word、Apple Pages、GoogleDocsなどは、基本的な校正機能を備えています。これらのワードプロセッサで作成することで、ミスがないかチェックすることが可能です。
②誤字脱字チェッカー(文章校正ツール)を使う
文章校正ツールも手軽なチェック方法の一つです。Ennoなど無料のツールもたくさんあります。
③誰かに読んでもらう
自分の間違いは自分で気がつきにくいものですが、誰かに新鮮な目で読んでもらうことで、ミスを発見することができます。
まとめ
今回は、気づかずに使ってしまいがちな「やってはいけない」マイクロコピーの3つのパターンを解説しました。
マイクロコピーはユーザーに劇的な影響を与え、売上を大きく左右します。
あなたのサイトでもぜひ、今回ご紹介したこれらの注意事項をチェックしてみてくださいね。
- ロボットのような言葉を使わない
- 『顧客視点での言葉』を考える
- 誤字脱字・文法ミスをチェックする
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。