私たち人間は、コンピュータと向き合っているときも、それがまるで人間であるかのように振る舞うという研究結果が出ています。
機械的なテキストの代わりに、サービスの世界観やキャラクターに沿った “人間らしい” UXライティングを取り入れましょう。
そうすることで、ユーザーとの距離を縮め、信頼関係を築き、行動の動機付けをすることができるからです。
今回は、凄まじいスピードで成長しているゲーム業界でのUXライティングの事例をご紹介します。
目次
UXライティングに世界観(ボイスアンドトーン)を取り入れるメリット
スタンフォード大学教授クリフォード・ナスの研究によると、私たちはコンピュータやデジタルインターフェイスと向き合うときも、それがまるで人間であるかのように振る舞うことが分かっています。
つまり、UXライティングに世界観やキャラクター(ボイスアンドトーン)を取り入れることは、ユーザーが製品やサービスを使うときの体験をより一層深め、ユーザーと商品やサービスの関係をより強固なものにできるということです。
そして、ユーザーにファンになってもらうことができれば、LTVは高まり、大きな利益に繋がっていきます。
例えば、これらのヘルプページを見て、あなたはどちらのサービスを使い続けたいと思うでしょうか?
「検索ワードを入力してください」
「こんにちは!なにかお困りですか?」
下のフレンドリーなヘルプページの方が実際のslackの画面です。
人気ゲームのUXライティング
人気ゲームのUXライティングから、熱狂的なファンを創るテクニックを学んでいきましょう。
伝説的な「あつ森」のUXライティング
あつまれ!どうぶつの森のUXは有名で、有名なUXライターの方が紹介したことでも話題になりました。
例えば、ゲーム開始時に名前を入力した後のこちらの画面。
「〇〇さんでよろしいですか?」
「考え直す」「オッケー!」
「戻る」の代わりに「考え直す」という言葉を使っています。
ユーザーの心理としては「前の画面に戻りたい」ではなく「名前を考え直したい」だから、制作側はあえてこの言葉を選んだのでしょう。
小さな摩擦をなくすことで、あつ森の世界に違和感なく入っていくことができるというわけです。
ゲームに愛着を持たせる「スプラトゥーン3」の工夫
スプラトゥーン3で自分のキャラクターを作る画面にも、ゲームに愛着を持たせる素晴らしい工夫が見られます。
「キミは誰なんだ?」
「キャラクターを選択してください」の代わりに「キミは誰なんだ?」というコピー。
「キミ」という二人称を使うことで、ユーザーにとっては「ゲームの中のキャラクター」から「自分のアバター」という認識に変わるのです。
また、最後の確認画面もユニークでゲームの世界観にピッタリですね。
「これがキミのすがた?」
「ちがう」「そう!」
思わず読んでしまう「サイバーパンク2077」の利用規約
利用規約というと、とにかく長くて読みづらくてつまらないイメージがあると思います。
実際に、適当にサッと読み流して「同意する」ボタンを押してしまい、後から重大なリスクに気づく…というユーザーは少なくありません。
サービスを提供する側としても、ユーザーにちゃんと読んでもらってリスクを回避したいところです。
サイバーパンク2077の利用規約では、法律的な効力を持つ「全文」の右側に、ラフで読みやすい「要約」が書かれています。
(詳しく読みたい方はサイバーパンク2077の公式サイトをご覧ください。)
要約の文章がゲーム内の人物が書いたという設定になっている点も、思わず利用規約を読みたくなる工夫です。
「右側の短い要約版は、法律用語の解釈に詳しい、ナイトシティ在住の生粋のサイバーパンクが書いてくれたものです。」
まとめ
今回は、ユーザーが製品やサービスを使うときの体験をより一層深め、ユーザーと商品やサービスの関係をより強固なものにするためのUXライティングについて、人気ゲームの事例とともにご紹介しました。
あなたの手がける商品にブランディングやボイスアンドトーンを取り入れたいと思ったら、こちらの記事に具体的なポイントをまとめたので、ぜひ実践してみてください。