「CVRを改善したい。」
あなたなら、まずどんな手を打ちますか?
・採用ページ全体のリニューアル?
・SNS広告の配信強化?
・ランディングページの構成見直し?
・外部のマーケティング会社に相談?
確かに、どれも間違いではありません。
しかし、中小企業では予算もリソースも限られ、なかなか取り掛かれないという現実があります。
実は、“たった一言の追加”だけで、CVRが13.37%→17.35%に。
改善率にして29.8%という成果を上げた事例があります。
やったことは、ボタンのすぐ上に「ある一言」を添えただけ。
大掛かりな開発や高額な広告なしでも、CVRは大きく変えられるのです。
「すぐに実行できて」「ちゃんと成果が出る施策」が最優先です。
マイクロコピーでCVRを改善した他の事例が知りたい方は、こちらのガイドもお役立てください。
この記事では、“地味だけど強力”なマイクロコピー「クリックトリガー」の使い方について、実例とともにお伝えします。
CVRを劇的に改善した実例
CVRを29.8%改善したクリックトリガー
ABテストを実施したのは、株式会社オレコンの採用ページです。
テスト前のCVRは13.37%。
これは一般的に見れば悪くない数字です。
しかし、より優秀な人材を集めたいという目的のもと、さらなる改善を目指しました。
改善策として行ったのは、応募ボタンのすぐ上に「ある一文」を追加することだけ。
追加したマイクロコピーはこちらです。
「簡単なメール文作成テストです(所要時間15〜30分)」
この一文を加えただけで、CVRは17.35%へと大きく改善しました。
わずかな言葉の追加が、応募者の心理に大きな影響を与えたのです。
「応募する」の前にある“見えない壁”
「応募する」ボタンを前に、ユーザーが立ち止まってしまう理由は明確です。
それは、この先に何が待っているか分からないから。
・どんな準備が必要なのか
・自分に対応できる内容なのか
このような疑問が払拭されないままでは、ユーザーは一歩を踏み出すことができません。
つまり、「情報が足りない」ことで、心理的なハードルが生まれてしまっていたのです。
今回の事例の場合、実はテストに関する説明は別の場所に記載されています。
しかし、ユーザーはそこまで読んでいなかったり、ボタンを押す頃には忘れている場合もあります。
この課題を解決するのが、「クリックトリガー」と呼ばれる手法です。
クリックトリガーとは何か?
クリックトリガーとは、ユーザーを踏みとどまらせる「心理的な障壁」を下げるマイクロコピーのことです。
ユーザーが決断するときの「不安」や「懸念」を和らげたり、「疑問」のこたえて背中を後押しする働きがあります。
クリックトリガー3つの型
クリックトリガーには、大きく3つのタイプがあります。
1. サポート型:心理的な障壁を下げる
ユーザーの「不安」や「面倒くささ」などを和らげて、安心して行動できるように促します。
例:
「登録は1分で完了、無料です」
「いつでもキャンセル可能」
「クレジットカード情報は不要です」
2. ベネフィット型:モチベーションを高める
ユーザーがクリックした後のメリット・得られる成果を強調して行動を引き出します。
例:
「たった3日でスキルが身につく!」
「今なら30%オフ」
「無料でプロのアドバイスが受けられる」
3. シグナル型:「行動を後押しする」情報を伝える
他人の行動や緊急性を示すことで、クリックの決断を後押しします。
例:
「今、5人がこの商品を見ています」
「残りわずか!在庫あと3点」
「累計5万人が受講した人気講座」
こうした“刺さる言い回し”をすぐに使いたい方は、こちらをお役立てください。
クリックトリガーを活用しているWEBサイト
実際にクリックトリガーを活用しているサイトの事例をご紹介します。
U-NEXTの事例(サポート型)
「登録は3ステップで簡単。」
「31日間無料で体験できます。」
「※ご登録日を含む31日間以内に解約した場合、月額料金は発生しません。」
登録の手間や月額料金の発生に関する不安を取り除くコピーが用いられています。
GuessTheTest.comの事例(ベネフィット型)
「無料でニュースレターを受け取れます、あなたに最新のABテスト事例を毎月お届けします」
このコピーにより、登録のメリットを明確にしています。
GuessTheTest.com
じゃらんの事例(シグナル型)
「昨日この宿を◎◎人が予約しました」
「◎人がこのプランを探しています」
といったマイクロコピーを表示し、人気の高さや需要の高さを示しています。
ユーザーに対して他の人もこの宿を選んでいるという社会的証明を提供し、安心感を高めることで、予約への心理的ハードルを下げている事例です。
なぜ効果があるのか?心理メカニズムを解説
人は意思決定の際、「不確実性」を極端に嫌います。
たとえば、以下のような状況では、無意識のうちに「リスク回避」を選ぶ傾向があります。
「自分にできるかどうか分からない」
「どのくらい時間がかかるのか分からない」
クリックトリガーは、この不確実性を“具体化”によって和らげるものです。
オレコンの採用サイトの事例の場合、
「簡単なメール文作成テストです(所要時間15〜30分)」
このコピーがあることで「これならやってみよう」と思える心理的な安心感が生まれています。
また、人は「曖昧な状況」よりも「自分が選んだと感じられる状況」の方が納得感を持って行動できます。
つまり、クリックトリガーは「クリック=自分で納得した選択」と思わせる演出でもあるのです。
ABテストの設計と注意点
ABテストの設計
今回のテストは、以下のような流れで実施されました。
- テスト対象ページの選定(応募数の多い職種ページ)
- オリジナル(クリックトリガーなし)とバリエーション(クリックトリガー追加)の用意
- 2週間程度の同時配信により、流入ユーザーにランダムで表示
- 応募完了数をもとにCVRを比較
結果、バリエーションページのCVRが13.37%から17.35%へと大幅に上昇。
約29.8%の改善となりました。
ABテスト実施の注意点
ABテストでは「1カ所だけ変更する」ことが鉄則です。
複数要素を同時に変更してしまうと、どの要素が影響したのか判断できません。
また、一定数のアクセス(サンプル数)を確保することも信頼性確保のために重要です。
中小企業が今すぐ取り入れられる施策
大掛かりな改善を一度にやるよりも、「小さな改善を積み重ねる」方が、現場では継続しやすく、結果的に大きな成果につながります。
ここでは、今日からでも取り組める“地味だけど効果的”な施策を紹介します。
応募ボタン・送信ボタンの上に、一言入れる
例:「所要時間○分」「〇〇は不要」「すぐ完了」など
現場の“よくある質問”からヒントを得る
例:「未経験でも大丈夫?」→「未経験歓迎」
CVRの変化を見ながら継続的にPDCAを回す
マイクロコピー改善は、**開発を必要としない“最短で成果に繋がる改善策”**です。
まずはひとつのボタン周りから、導入してみてください。
劇的な変化は、派手なリニューアルではなく、こうした地道な改善の積み重ねから生まれます。
まとめ
- CVR13.37%→17.35%への改善は「クリックトリガー」がカギ
- たった一言のマイクロコピーで、応募者の心理的ハードルを下げられる
- クリックトリガーは中小企業にこそ取り入れてほしい、コストをかけずに成果が出る改善施策
あなたのサイトのボタン周りや問い合わせフォームにも、ぜひ「一言」を。
その言葉が、ユーザーの背中をそっと押してくれるかもしれません。