たった数文字でコンバージョンが向上したマイクロコピーの成功事例5つ

事例

今回の記事では、このマイクロコピーの改善が、どれだけ全体に大きなインパクトを与えるのか?成約率の変化を、事例を通じてご紹介したいと思います。

数文字で成約率が向上したマイクロコピーの事例

1.ショッピングカート内のかご落ち対策で11.30%の成約率アップ

カゴ落ちというのは、ECサイトを利用するお客さんが商品をカートに入れたまま離脱してしまうことを指します。

リサーチ会社Baymard Instituteの調査によると、2016年度では世界の69.23%ものショッピングカートに起きているとの報告があります。

カゴ落ちの原因は様々ですが、顧客は、「途中で思いがけない追加コストが判明した時」に商品・サービスの購入を放棄することがわかっています。

そこで、SEOのプラグインを販売しているとある企業では、ショッピングカートの「支払い確認画面」にこんな工夫をしてみました。当初は、下記のようなシンプルなものでしたが、

改善後は、次のような表示に変わりました。何が違うのでしょうか?

参考:https://yoast.com

この事例のポイントは、カート内の合計金額表示欄の隣にあるTotal(there will be no additional costs)のマイクロコピーです

日本語で訳すと 合計(ここから追加のコストは発生しません) と記載されています。

安いと思って商品をカートに入れたのに、配送先の住所や名前を記入した後になって、高額な送料や、税、手数料を知らされるほど気分の悪いものは無いですよね。

この企業のショッピングカートでは、早い段階で、そのようなユーザーの心理を汲み取り、ケアしたのです。

なんと、この小さな改善だけで購入率は11.30%も改善しました。

このYoast.comでは、さらにプログレスバー、コンバージョンボタン、エラーメッセージなどのマイクロコピーの改善に成功し、その結果、以前と比べて成約率は30%も改善させています。

2.購入プロセスの「小さなことば」を見直してCTR改善

オンラインミュージックストアInsound.comでは、2012年にモバイル向けの新しい決済フォームを作りました。

これまでない美しいデザインのサイトになりましたが、成約率が平均以下になり、早急な改善が求められる状況でした。

そこで、解析ツールであるOptimiezlyを用いて、それぞれのステップで顧客を混乱させている原因を見つけました。

そこで判明したのは、ショッピングカートの「注文内容確認ページ」の1ステップ前のページで、顧客が離脱していたことです。

すぐに、原因がボタンに書かれたマイクロコピーであると仮説を立て、4つのパターンでA/Bテストを行って見ると、最終ページへのクリックスルー率は39.4%にも向上し、最終的には50%以上が次のページに遷移するようになりました。

テストしたボタンのマイクロコピーは「Review Order(注文内容を確認する )」「Continue(続ける)」「Submit (送信)」「Almost Done!(もうすぐ完了です!)」の4つでした。

閣下、マイクロコピー「Review Order(注文内容を確認する )」のボタンが勝利し、Webページに採用されました。

参考:https://blog.optimizely.com/

3.長いアンケートや、膨大な記入は面倒くさいと感じる

次は、住宅のローン借り換えを申し込むウェブサイトの事例です。

この会社では、顧客にメールアドレスと名前を登録してもらう前に、次のようなマイクロコピーとチェックボックスを用意しました。

「YES! I am ready for a better rate today! (はい!より良い利率のために準備万端です!)」

でも、どうしてこんなコピーとチェックボックスが必要だったんでしょうか?

実は・・・このローン借り換えの申し込みフォームは、必要な全ての項目に記入してもらうと、何と20分以上かかるものだったのです。

書類申請でさえ大変なのに、それを全てオンラインで完結させているわけですから、顧客には高い集中力が求められます。

しかし、このチェックボックスに、事前にチェックを入れてもらうことで、何と11%以上も記入完了率が向上し、月間で数百人もの申込数が増加しました。

このようなチェックボックスを「コミットメント・チェックボックス」と言います。

ロバート・B・チャルディーニによる名著「影響力の武器」でも一貫性のパワーについて書かれていますが、これは、人間は一度心に決めたことや実行したことに矛盾のない行動を行う傾向にある、という性質を利用するものです。

つまり、事前に何かを宣誓さたり約束させると、それを守ってくれる可能性が高まるということです。

4.サイト内の検索窓を利用するユーザーは、将来顧客になる可能性が高い

とあるマーケティングリサーチ企業が27種類のサイトを調査したところ「サイト内検索を使う人は、そうでない人より2倍以上の成約率がある。」というデータを発見しました。

同様の調査結果は、大手マーケティング企業3社でも報告されています。これは、非常に価値のあるデータです。

例えばECサイトを例に考えてみましょう。

ただ眺めるも目的でやってきた見込み顧客と違い、商品を購入する意思の強い顧客は、すでに「〇〇が欲しい!」と具体的な商品を頭に浮かべています。

彼らは既に購入したいものが決まっているので、真っ先にサイト内検索フォームに、キーワードを入れる。

これが「サイト内検索を使う人は、そうでない人より2倍以上の成約率がある。」という数字の背景にある事実です。

一方で、もう少し購買意欲の低い顧客もいます。例えば、本当は買いたいものがあるけれど、サイトを訪れた時点では、まだぼんやりとしている状態の顧客、いわゆる潜在顧客です。

では彼らが、顧客に変わる瞬間はいつでしょう?

それは、欲しいと思っていた商品のアイキャッチ画像や、商品ページが目の前に現れた時です。

そして、この「欲しかった商品」との出会いのきっかけを作るのは、紛れもなくサイト内検索機能なのです。

では、その出会いのきっかけを意図的に増やすことは可能でしょうか?

実は次の方法を使うと、見込み顧客が欲しい商品と出会える確率を高めることができます。

その鍵を握るのがプレースホルダーです。(上はザッポス旧サイト・下は2018年時点の新サイト)

プレースホルダーとは、検索窓や記入フォームの内側に書かれている、一般的には薄いグレーで書かれたテキストのことです。(通常は、マウスカーソルを合わせるとこの文字は消えてしまいます。)

大手通販サイトZappos.com(ザッポス・ドットコム)のサイト内検索でも、プレースホルダー「シューズ、服、バッグなど」「シューズ、服などで検索」のように、文言を変えてテストされています。プレースホルダーのマイクロコピーは顧客の検索を引き出すのに、とても重要な役割を担っています。

もし、あなたのウェブサイトでサイト内検索機能を導入しているのなら、下記の事実から逆算する方法が良いでしょう。

  1. GoogleAnalyticsの機能を使い、顧客がどんなキーワードが検索しているか調べる
  2. 検索されているキーワードをCVRの高い順に並べ替え
  3. 入力フォームのプレースホルダーに、CVRの高い検索キーワードを入れる

必ずしも具体的な商品名にする必要はありませんし、Zapposのように「シューズ、服、バッグなど」のようなカテゴリーやジャンルなどを記載する基準になります。

例えば北欧の家具や雑貨を扱っているECサイトであれば、売れている順のカテゴリー名「キッチン用品、家具、アクセサリーなど」といった設定ができます。

プレースホルダーの役割は、検索のためのヒントを与えることです。

そして、そのヒントは顧客の頭の中にあるキーワードを引き出すものでなければなりません。

だからこそ、アナリティクスを使って顧客がどんなキーワードを検索しているか、調べる必要があるのです。

オリジナルの料理本が作れるWebサービス「Tastebook.com」では、Google AdWordsのキャンペーンでA/Bテストしています。

サイト内検索の上位キーワードとGoogle AdWordsのセグメントを揃えたパターンが、最もCTR(クリックスルー率)が高いことがわかりました。

顧客が検索したキーワードを調べると、顧客の興味関心を拾うことができます。

もしかしたら、新たな商品の仕入れのヒントや、潜在的な大きなマーケットに気がつくチャンスになるかもしれません。

ボタンの真横に「It’s Free」だけでサインアップ率28%向上

オランダの連絡先管理サービス Soocial(現 viadeo)では、サインアップボタンの真横に「Its free!(無料 !)」と入れただけで、サインアップ率を28%もアップさせています。

Soocial のサインアップボタン(オリジナルパターン、サインアップ率 14.5%)

Soocial のサインアップボタン(パターン B、サインアップ率 18.6%)

また、オランダのリップグロス店シンシアでは「注文する」ボタンの真下に「送料 4.95 ユーロ(25ユー ロ以上のご注文で送料無料)」と添えたことで売り上げが 60.1% もアップしました。

マイクロコピーが成果を出しやすい理由。

それは、購入するモチベーションの高い人をターゲティングしたコピーだからです。

多くのマーケッターは、売り上げが伸び悩んだ際に、購買意欲の低い潜在的な顧客のモチベーションを高めようと苦戦しますが、それはそもそも難易度が高く、時間のかかる方法です 。

一方、購入ボタンや登録ボタンを「クリックするかどうか迷っている」顧客やユーザー、商品をカートに入れた状態のお客さんは、すでに行動への高いモチベーションを持った人たちです。

そして、行動に踏み切れない理由をマイクロコピーで取り除いてあげれば、あっさりと購入、登録をしてくれます。

これこそがマイクロコピーが、強力だと言われる理由です。

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